子どもが保育園に入園する時期は、年度初めの4月が最も多くなります。とはいえ、生まれ月の関係や復職の時期によって、年度の途中で入園が必要な場合もあります。そこで今回は、途中入園するための方法や途中入園のメリットとデメリットをご紹介します。

保育園の途中入園とは


保育園
途中入園とは、年度の途中で保育園に入園することです。多くの人は4月入園のタイミングを狙って、11〜12月頃に自治体が募集をかけたタイミングで申請します。
復職が年度の途中だったり、募集が終わってから仕事が決まったり、転勤や新居購入などの理由で引っ越したりした場合、途中入園を考えざるを得ません。そのような場合、入りたい保育園や学年に空きがあれば問題なく入園できますが、定員が埋まっている場合は待機児童として利用を待つ形になります。
待機児童となった場合、家庭の状況により保育の必要度が点数化され、入園の優先順位が決定します。待機児童の状態は現在、地域によってかなり異なります。
都市部以外では出生数の低下や受け皿の拡大などにより定員割れが起きている状況です。厚生労働省の調べでは、約85.5%の市区町村で「待機児童なし」の状態となっています。
逆に人口が集中しやすい都市部では、今も待機児童の問題が存在しています。お住まいの地域に待機児童となっている人数がどれくらいいるのか、自治体のホームページや役所で確認してみるとよいでしょう。

出典:厚生労働省 令和4年4月の待機児童数調査のポイント

保育園の途中入園、入りやすい時期はある?


実は、保育園には空きの出やすい時期とそうでない時期があります。できることなら、途中入園しやすい時期に狙いを定めて準備を整えていきたいですね。
ここからは、保育園に途中入園しやすい時期について解説します。

【4〜5月】追加募集の時期


4〜5月に保育園は追加募集を行うことがあります。追加募集があるときには、途中入園が可能です。「4月頭に入園した子たちで定員が埋まっているのでは?」と思いがちですが、実はそうとも言い切れません。
4月から入園する予定だったけれど、家庭の都合で入園を辞退するというケースもあるからです。空きが出た保育園は追加募集を出すので、そのタイミングで途中入園できるよう動いてみるとよいでしょう。

【9〜10月】転勤の時期


9〜10月は保護者の転勤に伴い、退園する子が出やすい時期になります。企業や業種によって異なりますが、3月の他に9月も決算を行う会社が多いというのが理由にあげられます。
保護者の転勤が決まって、約1ヶ月ほどで保育園を退園した事例も実際にあります。空きが出ることを見込んで事前に申請を出しておけば、退園者が出た時点で途中入園できる可能性がアップするでしょう。

途中入園の枠が空きやすい年齢は?


こども
一般的に待機児童が多いのは1歳児クラス、次いで2歳児クラスとなっています。待機児童がいれば、必然的に途中入園の難易度は上がります。
では、途中入園の枠が空きやすいクラスは何歳児なのでしょうか。理由とともに解説します。

0歳児クラス


3歳未満児の中でも、実は0歳児は空きが出やすいクラスとなっています。
通常0歳児クラスの保育士の配置基準は「保育士1名につき乳児3名」と枠が小さいので、途中入園は難しいのではないかと思われがちです。しかし、内定後に取り消す人が、他の月齢クラスよりも多い傾向にあるので、空きが出やすいという事実があります。
0歳児の場合は特に生まれて間もない赤ちゃんなので「一緒に過ごしたい」と考えるママパパも多いです。仕事に復帰するので保育園の申請は出したけれど、入園直前になって「やっぱり子どもと過ごしたい」と、退職を決める方も中にはいらっしゃいます。
復職した後に「育児と仕事の両立が難しい」と感じ、年度途中で退園する方もいるので、0歳児は定員が少なくても空きが出やすいクラスとなっています。

3歳児クラス


3歳児クラスの4月は特に空きが出やすい状況になっています。
それは、3歳児クラスへ進級する際に、保育園から幼稚園へ変わるお子さんがいるからです。また、この時期に自宅を購入して引っ越すご家庭も見られます。
3歳児クラスは保育士1名につき子ども20名の配置基準なので、2歳児(保育士1名:子ども6名)に比べると、かなり枠が大きくなります。2歳児から3歳児に進級するタイミングで退園する家庭が多く枠に空きが出ているときには、年度途中でも入園できる可能性が大きいです。

家の近くで途中入園できるか調べる方法


「この保育園に子どもを入れたいな」と思っても、空きがなければ入れません。そのため、どの保育園なら途中入園ができそうかを調べる必要があります。
前提として、認可保育園と認可外保育園では窓口が異なるので気をつけましょう。ここからは、情報収集の方法を解説します。

認可保育園の場合


認可保育園は市区町村が申請の窓口となっており、空き状況や待機児童数の把握も行っています。以下の方法で情報を入手しましょう。

行政のホームページで検索する
役所に電話で問い合わせる
役所で直接問い合わせる


認可外保育園の場合


認可外保育園の場合、入園や退園の手続きは各保育園で行います。なので、保育園に直接問い合わせてみましょう。
認可外保育園の一覧は行政のホームページで見ることができます。

保育園のホームページで空き状況を閲覧する
保育園に電話で問い合わせる


保育園に途中入園させたい時にやるべきこと


園庭
保育園の利用を考えてからすぐに入園できるとは限りません。特に待機児童が多い地域では空きが出ても、順番待ちの子ですぐに埋まってしまいます。
希望の時期に途中入園するためには、早めに行動するのがポイントです。ここからは、途中入園させたい時にやるべき3つのことをご紹介します。

こまめな情報収集


まずは自分でこまめな情報収集を行いましょう。
認可保育園の場合、退園日がわかったらその都度、行政へ報告します。そして行政は空いたところに新たな家庭が入園できるよう調整を始めます。
状況は毎日変化しています。早いタイミングで途中入園を叶えるためにも、こまめに情報をチェックすることをおすすめします。

提出書類の準備


入園申請を行う場合、用意する書類がたくさんあります。就労証明書など、職場で書いてもらう必要のある書類も含まれます。
提出書類に不備があると受理してもらえないため、準備は早めにとりかかるのが吉です。
ホームページから手続きに必要な書類をダウンロードできる自治体もあります。まずは自治体のホームページを確認してみましょう。

勤務先との調整


保育園の状況はさまざまなので、希望通りに途中入園できるとは限りません。入園できなかった場合の対応を、事前に勤務先と相談しておきましょう。
育休中であれば、育休の延長が可能か確かめましょう。育休は基本的には子どもが1歳になるまでですが、保育園に入れなかった場合、1歳半まで延長、2歳まで再延長が認められています。ただし勤務先の都合もあるので、事前に話し合っておくことが大切です。

また入園できた場合のことも考えておきましょう。入園すると始めの数日〜数週間は慣らし保育が必要になります。
1〜2時間の慣らし保育だと仕事へ行くことは難しいため休みを取らなければならないですし、保育時間が伸びたとしても最初のうちは早退しなければいけません。
仕事復帰の時期や勤務時間、仕事内容について事前に話し合っておくとよいでしょう。また、育児短時間勤務の制度を利用できるか確認しておくこともおすすめします。

保育園に途中入園するメリット


途中入園を考えた際には、園生活のスタート時期が他の子と違うことに不安を感じるママパパもいると思います。しかし、クラスの形ができ上がっている時期に入っていくからこそ得られるメリットもあります。
ここからは、保育園に途中入園するメリットを3つご紹介します。

【メリット1】クラスの様子を見学できる


保育園を決める前にクラスの様子を見学できます。クラス全体の雰囲気を見て「ここに預けたい」と感じられる園を選びましょう。
4月入園だと、見学は1歳上のクラスになります。部屋も担任も違うので、イメージがしづらいですよね。わが子が過ごすことになる保育室と友だちの様子を見ながら園選びができるのは、途中入園の方の特権です。

【メリット2】生活の流れが掴みやすい


途中入園した時に周りの子が園生活に慣れていると、わが子も生活の流れを掴みやすいというメリットがあります。保育園ではおやつや給食、お昼寝などの活動の合間に、着替えや排泄、片付けなどの動きがあり、1日の流れが大体決まっています。
前年度から持ち上がりの子や4月入園の子は日々の経過とともにクラスの流れに慣れてくるので、途中入園の子は、周りの子の様子を見ながら保育園の流れを習得しやすいです。

【メリット3】保育士との関係が作りやすい


途中入園の場合、保育士との関係が作りやすいです。なぜかというと、年度始めより保育士にゆとりがあり、途中入園の子どもに手厚く関わることができるからです。
4月は保育室が変わり、担任が代わり、新入園児が入ってくることもあり、子どもたちは落ち着かず、保育士は常に忙しい状態です。泣く子も多いため、一年の中で一番忙しい時期と言っても過言ではありません。
クラスが落ち着いた頃に入園すれば保育士との関わりが多く、信頼関係を早めに築くことができるでしょう。

保育園に途中入園するデメリット


途中入園にはメリットもある一方で、デメリットもあります。3つご紹介します。

【デメリット1】終わってしまっている行事がある


当然ながら、入園する前に終わってしまった行事には参加できません。入園式や懇談会、夏祭り、運動会など、入園の時期が後になればなるほど行事はどんどん終わっていってしまいます。
ただし行事に重点を置いていない方にとっては、大きな問題ではないでしょう。

【デメリット2】保護者の輪に入りづらい


保護者同士が仲良くなっていると、その輪の中に入りづらいということもあります。行事や送迎で顔を合わせる頻度が高くなっていくと、そのうちに保護者同士で仲良くなっていきます。
誰とでもすぐに打ち解ける人や他の保護者とのかかわりに重点を置かない人にとってはデメリットにならないでしょう。

【デメリット3】クラスへの適応が難しい


友だち関係やクラスのルールができあがっていると、子ども自身がクラスになかなか馴染めず、ストレスや不安を抱える可能性もあります。
子どもの性格や状況によっても異なりますが、子どもは順応力が高いので、時間とともに安心して過ごせるようになっていきます。

途中入園が難しい時は預け先の範囲を広げてみよう


待機児童
待機児童が多い地域ですと、どうしても途中入園が難しいこともあります。子どもを預けられるのは保育園だけではないので、視野を広げて預け先を探してみましょう。
ここからは、保育園以外の預け先をご紹介します。

●幼稚園・認定こども園


子どもが3歳以上であれば、幼稚園も利用が可能です。早朝と夕方に預かり保育を行っている幼稚園も多いので、最近ではフルタイムで働いていても預けられます。
まだ認知度は低いですが、認定こども園という選択肢もあります。認定こども園は保育園と幼稚園の機能を併せ持つ施設です。
保育園と同様に、0歳児から就学前まで預けることができますし、幼稚園の機能もあるので、もし仕事を退職したとしても退園せず通い続けることができます。

●小規模保育施設


小規模保育施設とは、利用定員が6人以上 19 人以下の保育施設です。以前は対象が0〜2歳児でしたが、令和5年からは3歳以上児も受け入れられるようになりました。しかし園の対象年齢は事業者が決めるので、確認が必要です。

出典:こども家庭庁 ​​​​小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて(通知)​​

●保育ママ


「保育ママ」は、0〜2歳児を対象にした家庭的保育事業です。利用定員が保育者1名なら子ども3名、補助者が入れば子ども5名となっています。この事業は、保育者の自宅や賃貸物件などで行っていることが多いです。少人数なので、より家庭的な保育が期待できます。

●居宅訪問型保育


保育園の利用が難しいと自治体から認められた場合には、居宅訪問型保育を利用することができます。対象は原則3歳未満となっています。東京都の場合は、待機児童になると訪問型保育を受けられる制度を導入している区もあります。

出典:厚生労働省​​ 居宅訪問型保育事業の概要
出典:キッズライン 東京都ベビーシッター利用支援事業

●ファミリーサポート事業


ファミリーサポートは、子育てをサポートしてもらいたい人(依頼会員)の状況を行政のコーディネーターが聞き取り、条件に見合った地域の会員(提供会員)を紹介するという制度です。保育園や幼稚園の送迎の他、保育施設の時間外や学校の放課後に子どもを預かったり、保護者の急用時に子どもを預かってもらうことができます。
ファミリーサポートセンターが仲介し、子どもを預かってくれる人を探してくれます。
行政が主体で安価に預けられる反面、条件に合う人が見つからないと預けられないため、見つかるまで時間がかかる場合もあります。
登録にはコーディネーターとの面談が必要な場合もあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。

●ベビーシッター(個別訪問保育)


ベビーシッターというと赤ちゃんに限定されたサービスかと思いがちですが、実は対象年齢は0歳~15歳までです。主に利用者の自宅で保育を行います。保護者が仕事で不在の場合はもちろん、在宅中や子どもの体調が悪い時などでも利用が可能です。
他のサービスと異なるのは、緊急時など急いで子どもを預けたいときにも手配できる点です。
仕事が理由でベビーシッターを利用しなければいけないときには、「企業型ベビーシッター割引券」を利用すれば、1日子ども1人につき4400円分の補助を受けることができます(1家庭につき1ヶ月で最大52,800円が補助対象)。
加えて、企業独自の補助制度を設けている場合もあるので、保育園の途中入園が難しい時には、自宅保育の方法も検討してみるのがおすすめです。

【企業型ベビーシッター割引券(旧内閣府割引券)】依頼前に知りたい!利用ルールとNG事例

また、保活の際、ベビーシッター利用による「受託証明書」を提出すれば、加点されて優先順位を上げることもできます。

保育園、保活の点数をベビーシッター利用で加算!「受託証明書」って知ってる?

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ベビーシッター
待機児童が多い地域では途中入園が難しい現実があります。「仕事に復帰しなければならないけれど、子どもの預け先が見つからない」という場合は、上記の方法を検討してみてはいかがでしょうか。
また保育園を探したり、手続きを行うなどといった際も、幼い子どもを連れていると思うように進まず、困難を感じてしまうかもしれません。保育園に入園した後も感染症のまん延などで登園できない、親自身の体調不良で育児が難しいという場合もあります。
そのような時も、育児の手助けとしてすぐに依頼できるベビーシッターを見つけておくと、安心です。育児は親だけでは手が足りないこともあります。多くの人の手を借りて育児をする環境を整えておきましょう。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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