子どもの体調に変化を感じた時、ママパパはいろいろな判断をして対応する必要があります。保育園を休むことについての判断は、ママパパが特に悩む点ではないでしょうか。本記事では、看護師として保育園で勤務経験のある筆者が保育園を休む基準について説明します。

保育園を休む基準は国で決められている


体調不良の子
保育園を休む判断については、国から「保育所における感染症対策ガイドライン」という指針が出されています。このガイドラインは、感染症を含めた子どもの病気や症状への対応について方針を示しています。
「保育所における感染症対策ガイドライン」について、説明していきます。

保育所における感染症対策ガイドラインとは


「保育所における感染症対策ガイドライン」は、乳幼児期の特性を踏まえて作成された保育園における感染症対策の基本を示すものです。
ガイドラインでは、子どもの病気を早く見つけて対応することは、本人の体調管理の面だけでなく、保育園での感染を広めないために大切であるとされています。
一部の感染症は、法令に従って休む期間が決められており、ガイドラインのなかで登園停止の期間や登園の目安が示されています。

医師の診察を受ける必要性が明記されている


ガイドラインでは、「子どもの病状が回復し、集団生活に支障がないという診断は、医師が医学的知見に基づいて行うものです」と示されています。このように、感染力が強い病気が考えられる場合には、医師の診察を受ける必要があります。

※出典
保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)こども家庭庁

保育園を休む基準になる症状と病気


保育園を休む基準には、どんな症状があるのでしょうか。
基本的には、子どもの機嫌が悪く、ぐったりしている場合は、他の症状にかかわらず保育園を休ませるほうがよいでしょう。その他の症状や病気について、説明していきます。

【1】熱がある場合


発熱は感染症をはじめとしたさまざまな病気で起こる症状です。体温が37.5度以上ある場合は、発熱していると考え、保育園を休ませましょう。
ただし、乳幼児は大人と比べて平熱が高めで、特に乳児は36.5度〜37.5度が平熱です。乳児が熱以外に症状がない場合、38度以上になると明らかに発熱していると考えられるでしょう。

【2】機嫌が悪く、ぐったりしている場合


子ども、特に赤ちゃんは言葉で自分の体調の変化を訴えることができません。どんな月齢の子どもであっても、「機嫌が悪い」や「ぐったりしている、活気がない」ときは注意が必要です。

【3】感染症にかかっている場合


一部の感染症は、法令に従って休む期間が決められています。
法令で定めのある感染症には、麻しんやインフルエンザ、新型コロナウイルスなどたくさんの種類があり、感染症ごとに登園の目安が示されています。例えばインフルエンザであれば、「発症した後5日経過し、かつ解熱した後3日経過していること」が登園の目安です。

【4】感染症にかかっていることが疑われる場合


体温が平熱であっても、感染症にかかっていることが疑われる場合には、保育園を休む必要があります。熱以外の感染症の症状は、咳や鼻水、下痢、発疹など多岐にわたります。

熱がない場合でも、登園は慎重に検討を


熱を測る子
熱が平熱であったとしても、感染症にかかっている場合があります。一律に熱がないからといって登園OKというわけではありません。それはどうしてなのか、理由を説明します。

【理由1】こまめな健康観察が大切だから


大人もそうですが、発熱するまでの間には「なんとなく体調が悪い」という段階があることが多いものです。子ども、特に赤ちゃんは急速に症状が悪化することがあります。大人に比べて、呼吸困難に陥ったり脱水になりやすく、注意が必要です。
また、自分の言葉で体調が悪いことを十分に表現することができないので、大人がよく様子を観察する必要があります。

【理由2】集団生活で症状が悪化したり、回復が遅れる可能性があるから


病気からの回復には、休息が大切です。いつもより睡眠が多く必要になったり、食事のメニューに工夫が必要になったりします。
保育園は集団生活なので、子ども一人一人に合わせた対応を十分に行うことはできません。体調が悪いときに、集団生活に合わせて無理をして過ごすことで、病気からの回復が遅れることがあります。

あっという間に症状が悪化した赤ちゃん

筆者が勤務していた保育園で実際に経験した話です。
お預かりしていた6ヶ月の赤ちゃんは、来園したときから少し咳が出ていましたが、機嫌は良く、元気でした。
その後、ミルクを飲んで昼寝していましたが、定期的な睡眠中のチェックで体を触ったところ、とても熱くなっており、熱を測ると38.4度!
保護者に連絡し、すぐに迎えに来てもらいましたが、30分後のお迎え時には39度台に上がっていました。お迎えまでの間には、咳こんで飲んだミルクを吐く様子もみられました。
幼い子どもが急速に症状が悪化する怖さを体感した出来事でした。
このようなケースもあるので、子どもの体調に少しでも異変があれば、保育園を休ませることを検討しましょう。


さて、次からは親が悩みがちな症状別に、「保育園を休む基準」を解説していきます。

【保育園を休む基準】鼻水が出る場合の判断


鼻水の子
鼻水は子どもがよく罹患(りかん)する症状です。軽く考えられることの多い症状ですが、子ども、特に赤ちゃんは鼻の通り道が狭いため、呼吸のしにくさを感じることがあり、注意が必要です。
鼻の粘膜が炎症を起こし、むくんだり充血することで鼻水が出ます。鼻水は、ウイルスや細菌の感染で出ることが多いですが、アレルギー反応や寒暖差によって出ることもあります。
鼻水は単独で症状として出ることは少なく、咳や下痢など他の症状も併発していることが多いでしょう。

【鼻水が出る】こんなときは保育園を休もう


☑ 鼻水の量が多い
☑ 鼻水がずっと出ている
☑ 鼻水の色が緑色やオレンジ色
☑ 鼻水以外にも感染症を疑う症状がある


特に、鼻水の色が緑色やオレンジ色のときは、細菌やウイルスの感染が強く疑われます。ただ単に鼻水が出ているというだけでなく、全身状態が悪くなっていることも多いので、病院を受診したり、自宅で療養しましょう。

【保育園を休む基準】咳が出る場合の判断


咳は、異物を気道から取り除こうとする防衛反応です。ウイルスや細菌の感染のほか、アレルギー反応や異物の誤飲によっても起こります。咳は子どもにとってつらい症状です。また、咳をすることはとても体力を消耗するので、全身状態を悪くしがちです。

【咳が出る】こんなときは保育園を休もう


☑ 激しく咳こむ
☑ 咳が続き、水分や食事があまりとれない
☑ 咳が出て、睡眠に影響が出る
☑ たんが絡むような咳が出る
☑ 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が鳴り、呼吸が苦しそう
☑ 咳以外にも感染症を疑う症状がある


咳が出始めた時は、登園を控え、病院を受診したり、自宅で療養することをおすすめします。咳とともに呼吸が苦しそうな様子がみられる場合は、急いで受診しましょう。

【保育園を休む基準】お腹を痛がる場合の判断


おなかが痛い子
子どもがお腹を痛がる原因には、いろいろな原因が考えられます。便秘や下痢の症状でお腹が痛いこともあれば、感染性胃腸炎や急性虫垂炎、腸重積などによることもあります。

【お腹を痛がる】こんなときは保育園を休もう


☑ 痛みの程度が強く、持続時間が長い
☑ 下痢をしている
☑ おう吐している
☑ 長期間、便秘をしている
☑ お腹が張っていたり、腫れている
☑ 水分や食事をあまりとれない
☑ 脱水の症状がみられる(尿回数や量が減っている、唇が乾燥している)


子どもの腹痛は判断が難しい症状の一つです。赤ちゃんや小さな子どもの場合、言葉で症状を説明できないため、お腹が痛いことがわからないかもしれません。機嫌が悪かったり、ぐったりしている場合に、お腹が痛いことが原因である可能性があります。
子どもがお腹を痛がる原因は多岐にわたり判断が難しいことから、医師の診察を受けることをお勧めします。

【保育園を休む基準】前日におう吐した場合の判断


おう吐は、胃の内容物を口から吐き戻すことです。ウイルスや細菌の感染などよって胃や食道、腸の動きが妨げられているときや、脳の異常などで起こる可能性があります。

【前日におう吐】こんなときは保育園を休もう


☑ 何度も吐いている
☑ 吐き気が止まらない
☑ 水分や食事を十分にとれない
☑ 腹痛や下痢などほかの症状をともなう
☑ 脱水の症状がみられる(尿回数や量が減っている、唇が乾燥している)


おう吐した翌日に吐いていなくても、吐き気や下痢など何らかの症状が続いている場合には保育園を休み、病院を受診したほうがよいでしょう。意識がはっきりしないときや脱水の症状がみられるときは、急いで受診する必要があります。

【保育園を休む基準】目やに、目がかゆい場合の判断


目は、ウイルスや細菌の感染によって症状が出やすい部位です。結膜炎や溶連菌感染症、麻しんなどの感染症が原因となり、目やにが出たり目がかゆくなります。そのほか、目の充血や痛みといった症状が出る場合もあります。

【目の症状がある場合】感染力の強い病気の可能性があり受診が必要


「目の症状だけだから」と放置することで悪化する可能性があるため、軽く考えず早く病院を受診することが大切です。
特に結膜炎は、ウイルス感染と細菌感染のどちらでも起こり、種類によっては感染力がとても強いものがあります。登園することで感染が広がる可能性があるので、目の症状がある場合は病院を受診することが望ましいです。
医師の診察を受けて感染症の可能性があるか診断してもらい、保育園の登園について意見をもらいましょう。

【保育園を休む基準】発疹が出ている場合の判断


発疹は、目で見てわかる皮膚の変化のことを言います。「赤い斑点ができる」「ブツブツとした盛り上がりができる」など、皮膚の変化にはいろいろな種類があります。顔や手足、お腹、口の中など全身のいたるところに発疹が出る可能性があります。

【発疹が出ている場合】基本的には病院受診が必要


発疹は、ウイルスや細菌の感染により起こりやすい症状のため、軽い虫刺されやあせも以外は、病院を受診することが望ましいです。ウイルスや細菌による感染により発疹が起こる病気には、麻しんや水ぼうそう、突発性発疹、手足口病、溶連菌感染症などたくさんの種類があります。
医師の診察を受けて感染症の可能性があるか診断してもらい、保育園の登園について意見をもらいましょう。

いつもと違うと感じたら受診や病児保育がベター


受診する子
子どもに何らかの症状があるときは、感染症にかかっている可能性があります。保育園に通っている場合、なるべく登園前に受診して、医師に診察してもらうことが望ましいです。また、保育園を休んで自宅で療養することも大切です。

保育園を休むのは、流行予防と回復のため


子どもの体調がなんとなくいつもと違うかな?と思った後、急激に体調が悪化することがあります。子どもは体調が悪くても、うまく訴えることができないので、大人が表情や顔色、遊びや睡眠の様子などをこまやかに観察する必要があります。
体調が悪いときに、保育園の集団生活でいつもと同じように生活することは、子どもにとって負担になります。保育園を休むことは、保育園内での感染症の流行を予防する意味合いもありますが、なによりも子どもの健康回復を早めることにつながります。

休みが取れないときは病児保育や病児ベビーシッターを


子どもの体調が悪い時には、できれば親のどちらかが休みを取って付き添ってあげられるとよいですね。とはいえ、何日も連続で休みが取れる人はそう多くないでしょう。
そのような場合は、病児保育施設に預けるか、病児保育が可能なベビーシッターに頼んで乗り切っていきましょう。
病児保育が可能なベビーシッターなら、体調の悪い子に移動を強いらずに休息をとることができます。安心感のある自宅で、ゆっくり子どものペースで過ごすことが、回復を促すでしょう。

今すぐベビーシッターを依頼してみる

「保育園を休む基準」を参考に判断しよう


ここまで保育園を休む基準について、症状を含めて紹介しました。保育園を休む基準の要点をまとめると、下記のとおりです。

● 一部の感染症は、法令で登園停止期間が決まっている
● 感染症が疑われる場合は、登園せずに受診することが望ましい
● 発熱や機嫌が悪く、ぐったりしているときは病気の種類に関わらず保育園を休む


これらの基準を参考に、保育園を休むかどうか判断を行いましょう。また、感染症予防のための予防接種もおすすめします。

キッズラインなら病児保育が可能なベビーシッターを探せる


ベビーシッターをスマホから探すことができる「キッズライン」には、保育士や看護師など、経験豊富で病児保育が可能なサポーターが在籍しています。
「子どもが病気になった際の預け先を探している」方は、お子様が元気な時に一度病児保育可能なサポーターに依頼してみて、相性を確かめておくのがオススメです。子育ての強い味方として、まずはキッズラインのベビーシッターサービスに登録してみてはいかがでしょうか。

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■監修ライター :辻 奈由香
フリーランスの看護師・保健師・助産師。周産期センターで助産師として勤務した経験から、地域で生活する母子を支援する保健師に関心を持つ。その後12年間、自治体で保健師として勤務し、乳幼児家庭を対象とした家庭訪問や乳幼児健診など母子保健事業を中心に従事する。退職後に、保育園で看護師として勤務した経験あり。現在は小学生の子どもを育てながら、ライターとして活動中。


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