多動症は医学的に「ADHD(注意欠如・多動症)」と呼ばれる発達障害の一つです。小学生の3~7%に見られると言われ、決して珍しい障害ではありません。しかし、学校生活など様々な面で支障を来すことも。そのため、早い段階で適切な治療や療育を開始することがすすめられています。そこで今回は、多動症を疑うべき徴候や対応について医師が詳しく解説します。


多動症の子どもに見られる症状


多動症は年齢に見合わない落ち着きのなさや注意力のなさ、衝動性などの症状があります。そのため、集団生活の場などで周囲に溶け込めず、様々な支障を来たします。まずは、その症状について詳しくみていきましょう。



■どんな症状があるの?


多動症の特徴は、「不注意」と「多動・衝動性」が同年代の子どもに比べて目立つことです。具体的に次のような症状がいくつも当てはまる場合は注意が必要かも知れません。




【不注意】


・気が散りやすく、活動に集中できない
・指示に従うことができず、様々なことを間違えやすい
・物事の計画を立てて実行することができない
・落とし物や忘れ物が多い

【多動・衝動性】


・じっと座っていることができず、手足をそわそわ動かすなどの行動が見られる
・静かに活動することができない
・授業中に席を立つなど場にふさわしくない行動をする
・順番を待てずに周囲の子どもの邪魔をする
・おしゃべりが多く、黙っていられない


■症状に当てはまれば多動症と考えていいの?


多動症とよく似た症状は、別の病気や不安定な環境での生活、虐待などによって引き起こされることもあります。そのため、上述したような症状に当てはまるからといって、必ずしも多動症と確定できるわけではありません



アメリカ精神医学会では、


・上述した不注意、多動・衝動性の症状が同年代の子どもより目立つこと
・12歳以前から症状があること
・学校や家庭など2つ以上の場で症状が問題となっていること
・対人関係や学業などに支障があること
・他の精神疾患は否定できること

これらすべてが当てはまる場合に、多動症と診断します。また、これらの状態が半年以上続いていることも診断基準の一つになっています。



何らかのストレスにより、一時的に落ち着きがない、または不注意が特定の場のみで生じる場合は、多動症ではない可能性もあります。また、多動が目立つ場合でも、対人関係や学業などに支障がない場合も多動症とは言えません



保育園や小学校の入学は、子どもにとって大きなストレスになる場面です。そのため、一時的に症状が出た場合でも、時間が経過すれば次第に改善していく可能性が大きいと考えられます。しかし、症状が半年以上続き、日常生活に支障が出てきた場合には、多動症が疑われますので注意が必要です。



多動症の原因とは?

多動症の明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、多動症の子どもは、脳内のドーパミンと呼ばれる物質の機能に異常があることが指摘されています。遺伝や環境などの要因、妊娠・出産時の異常が発症に関わっているとも考えられています。


また、多動症は女の子よりも男の子の方が3〜5倍も発症率が高く、性別も発症要因の一つとされています。


うちの子多動症かも?と思った時の対処法


子供画像

保育園などの集団生活が始まる時期は、周囲の子どもとの違いが目立つようになり、多動症が疑われる子どもが増えます。もしも「うちの子多動症かも?」などと思い当たる症状がある場合に、ご家庭でどのような対応が必要なのでしょうか?



■環境を整えよう


まずは、子どもが生活しやすい環境を整えることが大切です。家具の配置やおもちゃの置き場などを工夫して、気が散りにくい環境を作りましょう。また、遊びや活動の時間も、子どもが集中できる時間に区切って行い、少しずつ時間を伸ばしていくことがオススメです。



■叱らずに褒める!


子どもが不注意や落ち着きのない行動をしても、頭ごなしに𠮟りつけるのはできるだけ避けましょう。好ましくない行動をした際は、時間をかけて話し合いをしてみましょう。


そして、良い行動をしたときにはしっかり褒めてあげることが大切です。ご褒美をもうけることで、良い行動へのやる気スイッチが入ることもあるので、親子で無理のないルールを決めておくのも良いですね。



■まずはかかりつけ医に相談しよう


多動症なのか、元々の性格による不注意や多動なのかを判断するのは非常に難しいです。しかし、上述したような症状が半年以上続き、集団生活の中で様々な支障が出始めた場合には、できるだけ早く医師に相談しましょう。



多動症は診断が難しいため専門医を受診するのも一つの方法ですが「いきなり専門医に行くのは敷居が高い」という場合は、健診や予防接種をしているかかりつけ医に相談してみましょう。その後、必要であれば専門医を紹介してもらえます。



不注意や多動が続くときは要注意!正しい対応を心がけて


不注意や多動・衝動性などの行動が目立つようになる多動症は、よく見られる発達障害の一つです。人間関係や学業などに支障を及ぼすこともありますが、一方で不注意や多動が見られる子どもすべてが多動症と診断されるわけではありません。



しかし、多動症を疑うような症状が半年以上続き、集団生活に障害が出てきた場合は注意が必要です。子どもの様子に過敏になり過ぎたり、ご家庭内だけで問題を解決しようとすると、親子ともどもストレスになってしまう場合もあります。できるだけ早く医師に相談し、適切な治療や対応をすることがオススメです。





■監修ライター:成田亜希子


2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。





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